2024年4月お知らせ
経尿道的水蒸気治療(WAVE:Water Vapor Energy Therapy)とは?
泌尿器外科 山下朱生
➡経尿道的水蒸気治療(WAVE)とは前立腺肥大症に対する治療法のひとつで 水蒸気の熱を利用して肥大した前立腺を退縮させる治療方法です。
どのような治療➡
Rezum(レジューム)システム*を使用して、麻酔下に内視鏡を尿道から挿入し、前立腺に何か所か針を刺します。103℃の水蒸気を9秒間注入し、前立腺内部温度を70℃まで上昇させ組織を壊死、自然吸収させ、退縮させる治療です。
現在行われている経尿道的前立腺切除のように組織を切ったり焼いたりしないため、侵襲性が低く2022年9月に保険適応となりました。
平均手術時間は10~15分程度、術後1∼3カ月をかけて排尿状態の改善がえられ、効果の持 続は5年間の調査で証明されており再手術率も2-4%と低いことも示されています。
お勧めしたい方➡
内服治療であまり効果がでない方
外科的な治療のリスクが不安な方
長期的に尿道カテーテル留置をしている方
血液をさらさらにする薬(抗血小板薬)を内服されている方
当院での加療の流れ➡
外来検査➡前日または当日入院➡手術当日、病棟から手術室に徒歩で移動します➡麻酔を行います(麻酔科医師)➡尿道に膀胱鏡を挿入し、WAVE手術を行います。 約15分程で終了し、尿道にカテーテルを挿入して尿道の確保を行います。➡術後4日前後、痛みや尿の状況、発熱等の経過を観察し基本的には尿道カテーテル挿入のまま退院します。➡約1~2週間後外来受診し排尿を確認します。
術後留意点としては
前立腺がむくんでいるため当初は術前よりも尿の出方が悪いことがあります。2週間後から3ヶ月の間に、徐々に前立腺のむくみが取れ組織が壊死し治療効果が現れるようになりますので少し気長に症状の改善を待ちましょう。なので術前に内服していた前立腺肥大症の薬は継続します。
術後の症状➡
尿道会陰部の痛み、違和感、尿路感染症、肉眼的血尿(外科的止血が必要な場合もあります)
排尿困難
〈入院期間7日間とした場合の入院費〉※食事代除く
年齢 | 負担割合 | 金額 |
70歳未満 | 3割 | 約270,000円 |
(高額療養費制度区分ウの場合:約90,000円) | ||
1割 | 約90,000円 | |
70歳以上 | 2割 | 約180,000円 |
3割 | 約270,000円 |
●レーザーによる「尿路結石」の治療を始めました。
詳細はこちらよりご確認ください。
●2022年8月より軟性膀胱ファイバーを導入しました。肉眼的血尿、膀胱癌、膀胱結石、難治性の膀胱炎等の精査に対し膀胱内視鏡を行うことが必要です。従来は硬性膀胱ファイバーにて行っていましたが、今回、軟性膀胱ファイバー導入により患者様により優しい疼痛が軽減された検査となりました。
主な取り扱い疾患
泌尿器科領域全般、小児泌尿器等も対応可能です。
診療内容
来院された患者様にわかりやすく、丁寧な診療を心掛けております。泌尿器科全般に対しての診察、経尿道的手術を中心に前立腺、尿路の手術を行っています。地域の中規模病院、救急医療機関として受け入れた患者様の泌尿器科的にかかわる疾患について迅速な対応を目指しております。また、専門性の必要な検査や治療がある場合は適切な高次医療機関にご紹介させて頂いております
術前・術後の化学療法(抗癌剤)や再発・転移に対する治療、腎癌、尿路上皮癌に対する分子標的薬、免疫チェックポイント薬等も行い、今後外来化学療法室での通院での化学治療も検討しています。患者様の生活や病状に合わせたいわゆるテーラーメイド治療やスケジュールを提供したいと考えています。
医師紹介
- 山下 朱生
- 役職 :泌尿器外科部長
出身大学:高知大学 - 【主な認定資格】
- 泌尿器科専門医
泌尿器科指導医
日本医師会 認定産業医
厚生労働省 臨床研修指導医
- 吉村 厳
- 役職 :泌尿器外科医長
出身大学:東京大学 - 【主な認定資格】
- 泌尿器科専門医
ご来院の際は、「休診情報」をご確認の上お越しください。
医師の休診もあるため再診の情報はお問い合わせくさい